ふたつ名の令嬢と龍の託宣
 好待遇のダーミッシュ家への就職は、倍率が高い上、採用基準がとても厳しい。他家の使用人の間でもこれは常識である。

 最終選考に残れた者でも、最終的に採用されるのはほんの一握りの難関であった。

 採用されたものは口をそろえて言う。
 ダーミッシュ家には妖精のような可憐で儚げな姫がいると。

 その一方で、ダーミッシュ家の令嬢は、黒い悪霊を身にまとった、悪魔の令嬢だという噂が確実に存在した。

 ほとんどの者は、採用されなかった逆恨みだろうと相手にしなかったが、その噂が真実か否か、それを知る者は数少ない。


 今日もダーミッシュ家は、笑顔が絶えない愛情あふれる一日をすごしている。


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