恋愛計算は間違える(アルバートとテレーサ)
<ブランシュール城・10時>

「俺は何をすればいいんだ?」

アルの見やった先には
昔の馬小屋と納屋があった。
その脇にガレージがある。

「車があれば、遠くまで視察に行けるわね。
できれば学校と病院をつくりたいと言っていたから」

「まずは運転手か・・」
アルはガレージの大きな扉をあけた。
埃だらけの古めかしい車があった。

「これは動くかな・・?」
まず、修理だろう。
エンジンの調子を見なくてはならない。

「必要経費で経常してくれれば・・テレーサ様は、宝石や絵画を売って
お金をつくるけど・・・
もう、相当に貧乏だと思う」

ダイアナはあきれたように言った。
「テレーサ様の頭には、金儲け(かねもうけ)という言葉がないの」

「はぁ・・そんなんで、よくここの領地がもっているよな!」
アルは思わず大声をあげた。

「だから、貧乏なのよ?
でも、こんな辺鄙(へんぴ)
さびれた場所だからね・・・」
ダイアナは自嘲(じちょう)気味に言った。
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