恋愛計算は間違える(アルバートとテレーサ)
<ブランシュール城・玄関・16時>

アルも信じられないというように、テレーサを見た。

「サインをしていただければ、
ロランドさんはブランシュール家の人間です。」

「ああ?・・・ええと・・
お前はどうするんだ・・
アルバート・ロランド?」

管理官がアルを見た。
「養子縁組が成立すれば、
確かに不法滞在ではない、永住権も持てるが・・」
アルはテレーサを見た。

その顔は紅潮して、唇をかみしめている。

「リエットさんが・・教えてくれました・・
ロランドさんがこのままここにいるためには・・」

あの女狐は何を教えて、吹き込んだのか?

アルは大きく息を吐いた。
俺のなすべき事、俺のいるべき場所は・・・

どんな形でも取りあえずの、時間稼ぎは必要だ。

「書類をくれ・・」
管理官が書類を渡してくれたので、アルはペンを取り、署名した。

管理官は署名した書類を手に取り、<ふん>と笑った。

「なるほど、アルバート・ブランシュール・・悪くないな。
ロランドはミドルネームにしておくか?」
ついでに言っておくが、
岩塩抗の跡は、軍部も興味があるらしいぞ」

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