婚約破棄されたので薬師になったら、公爵様の溺愛が待っていました
まるでイライアスの全てを拒絶するような……。

(あの紋様も酷く嫌がっていたようだし……)

そこまで考えていてふと気が付いた。

「あの、メイナード様。黒い紋様が呪いではなく異界の魔力の表れなのだとしたら、なぜ私の薬で消えたのでしょうか」

「以前も話したが、アレクシアの魔力が異界の魔獣にとって天敵なのは間違いない。薬に含まれた僅かな魔力が少しずつ異界の魔力を消して行ったのだろう」

アレクシアは瞬きをした。

「でもそれだとメイナード様の力が弱くなってしまうのではないですか?」

ブラックウェル公爵の役目は、魔獣を討伐し国を守ること。彼は本当に紋様を消すのを望んでいるのだろうか。

「今のところ変化は感じない。ルーサーは紋様が無くても強い力を使えるのだし、力自体は消えないのかもしれない。だがもし異界の魔力がなくなっても、自身の力で役目を果たす。アレクシアと家臣と領民を守ってみせる」

力強く宣言する夫は、自信に溢れていた。

出会った頃の、人を拒絶するような壁はもう少しもない。

「メイナード様……私も力になれるよう頑張ります」

「ああ、頼りにしている」

メイナードは柔らかく微笑み、アレクシアの頬に手を伸ばそうとした。その瞬間咳払いが聞こえて来て、メイナードは伸ばしかけていた手をぴたりと止めた。

「あー仲が良いのは結構ですが、俺の存在を忘れないで下さると助かります」
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