婚約破棄されたので薬師になったら、公爵様の溺愛が待っていました
アレクシアが表情を曇らせたことに気づいたのか、ルーサーは励ますような明るい口調で言う。
「ありがとうございます。ですが私のことはお気遣いなく。ディナもいますから」
「いいえ。アレクシア様が健やかに過ごせるよう努めよと、メイナード様に厳命されております。なんなりとお申しつけください」
「旦那様が?」
「メイナード様はお優しい方です。アレクシア様もそのうち分かると思いますよ」
(でも、私に優しくしてくれることなんてあるのかしら?)
彼は、アレクシアを疎ましく感じているのではないのだろうか。
今のところ会話がほとんどないので、考えが分からない。
「あの、旦那様はしばらく戻らないと仰っていましたが、どちらに行かれたのですか?」
「南方に位置する〝間の森〟の砦です」
「間の森……話には聞いています。この国の魔獣はすべてそこから生まれるのだとか」
その原理は未だ解明されていないが、森の中にアレクシアたちの住むこの世界と、異界を繋ぐ扉があると言う。
ふたつの世界の間にある森だから、間の森と呼ばれるようになったそうだ。
「旦那様は、魔獣の討伐に行かれたのですか?」
「はい。ブラックウェル公爵家の最大の役目は、間の森の監視です。今回、とくに強い魔獣が現れたため、メイナード様自ら騎士を率いて向かいました」
「ありがとうございます。ですが私のことはお気遣いなく。ディナもいますから」
「いいえ。アレクシア様が健やかに過ごせるよう努めよと、メイナード様に厳命されております。なんなりとお申しつけください」
「旦那様が?」
「メイナード様はお優しい方です。アレクシア様もそのうち分かると思いますよ」
(でも、私に優しくしてくれることなんてあるのかしら?)
彼は、アレクシアを疎ましく感じているのではないのだろうか。
今のところ会話がほとんどないので、考えが分からない。
「あの、旦那様はしばらく戻らないと仰っていましたが、どちらに行かれたのですか?」
「南方に位置する〝間の森〟の砦です」
「間の森……話には聞いています。この国の魔獣はすべてそこから生まれるのだとか」
その原理は未だ解明されていないが、森の中にアレクシアたちの住むこの世界と、異界を繋ぐ扉があると言う。
ふたつの世界の間にある森だから、間の森と呼ばれるようになったそうだ。
「旦那様は、魔獣の討伐に行かれたのですか?」
「はい。ブラックウェル公爵家の最大の役目は、間の森の監視です。今回、とくに強い魔獣が現れたため、メイナード様自ら騎士を率いて向かいました」