下弦の月
《柊輔》



ベットの中、



裸のままで、お互いの温もりを感じながら。




俺は、月香に質問攻めにされている。








「いつから…私が、前世で約束した子だって気付いてたんですか?」






「その質問に答える前に、言葉遣いを直せ。二人の時は普通に話せよ。」





頷いた月香の頭を撫でて、





「お前が車の中で寝ちまって、ここに連れて来た夜に“歳三さん”って言った時だな。」





答えると、切なそうな顔になった。





「どうした?そんな顔して…」





「その時の夢を思い出して…」





「夢?」





「うん…夢の中で、歳三さんは私が呼び掛けても振り向いてくれなくて…消えちゃう夢…」






「そうか…でもな、今は俺が居るだろ?土方の生まれ変わりの俺が。俺は、消えたりしねぇから。」






「うん。信じてる。」






切ない顔は、笑顔に変わった。



「他に、聞きたいことは?」





「…柊輔さんって、いくつなんですか?」






「は?今更かよ…今月、32になった。」






「今月で?お祝いしたかった…」





「祝って貰うような歳でもねぇよ。でも、お前がどうしてもって言うなら…来年は祝ってくれよ。5月11日だ。」






「それって…歳三さんの命日?」





「そう、死んだ日に産まれるなんて…まさに運命だな。」






「そうだね…」





「お前がさ…その時に俺を看取ってくれたんだろ?そして同じ月に、こうして繋がったのも運命だろ?」





「うん…運命って本当にあるんだね。」





「信じてなかったけどな…運命なんて。だけど、今…お前とこうして一緒に居るんだ、嫌でも信じさせられるよ。」






また、笑顔になった月香の笑顔を守るのも。





俺の運命なのかもな。
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