下弦の月
「何でも答えてやるよ、他には?」





「…今日のこと。栞ちゃんに聞いたんでしょ?」






「ああ…何かあってもお前は連絡して来ないだろうから、佐藤に頼んだんだ。だから、佐藤を責めんなよ。あいつも、かなり心配してたぞ。」






「うん、明日…ちゃんと、お礼しとく。栞ちゃんには柊輔さんへの気持ちとか話しちゃったし…」






「そうか、佐藤なら口が固そうだしな。別に俺は、皆に知られても構わないが…お前は嫌なんだろ?」






「うん…柊輔さんは社内でも人気だから…」






「俺がか?」





「うん、柊輔さんが気付いてないだけで。ファンクラブまであるんだよ。」






「ファンクラブ?なんだよ、その面倒なクラブ。でも、安心しろ。俺は…お前のだ。」






顔を赤らめた月香の前髪を横に流して、



額にキスを落とす。





頬にキスをして返してくれた月香に、





「そろそろ…寝るか?」





と、告げるて胸に身体を寄せて。




頷いた月香を強く抱き締めると。





心地好い温もりが身体に染み込んで、




深い眠りに誘われた。
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