下弦の月
「悪いのは…俺だ。」





耳に掛かる柊輔さんの切な気な声。





溢れ落ちる涙をそのままに、首を大きく横に振る。







「月香…」





まだ切な気な声で名前を呼ばれ、顎に指を添えて。





自分の方へ向かすと。





唇が重ねられて、すぐに離された唇は。




溢れる涙を舌で掬われた。







「俺は…泣かせてばかりだな。だけどな、お前を離してやれないんだ…泣かせてばかりだが、これからもずっと…側にいてくれるか?」







「…もちろん…」






迷いなんてない、私も同じように柊輔さんを離せないのだから。






もう、生涯でこんなに愛せる人はいないんじゃないか?




ってくらいに、愛しているから。





あの現場を見て始めて、自分が知らない間に強くなっている想いに気付いた。









重ねられた唇の隙間から入る熱い舌を絡ませて。




何度も唇を重ね合わせて。





お姫様抱っこされた身体は、ベットに沈んで。






二つの身体をひとつに繋げた。
< 146 / 161 >

この作品をシェア

pagetop