下弦の月
誓い
それから、二ヶ月後ーーー。




暑い夏は、過ぎたけれどまだ残暑の厳しい暦上は秋になり。







グレーのフロックコートのタキシードに身を包んだ淳平さんと、




純白のAラインのウエディングドレスに身を包んだ彩芽との、





結婚式が行われた。







式場内の中庭で、立食形式の披露宴。






いつもとは違う黒の少しだけ光沢のあるスーツに、




アイスシルバーのネクタイ。




同じ色のチーフを胸ポケットに入れて、




いつもより無造作にセットされた黒髪。





雰囲気が、たったそれだけで変わるから。




かっこよくて見とれてしまう。





私の顔は、終始……真っ赤のままかもしれない。










「今日、披露宴が終わったら…家に来るだろ?」






「うん、明日は久しぶりに有給取ったから。」






「そうだったな、俺も有給取ったんだ。久しぶりに…ゆっくりしようぜ?」







そう、私達は昨日まで…仕事が忙しくすれ違いばかりだった。





柊輔さんは、支社への出張が重なり。




私も新規が増えたおかげで、残業なんて当たり前だったから。







柊輔さんを見上げて頷くと、



私の手を握って。





指を絡めて繋ぎ直してくれて、額に唇が当てられた。








「おめでとう、彩芽すごく綺麗だよ。」






「ありがとう、月香も近いうちに…かな?」








私達の所へ挨拶に来てくれた彩芽は、




そう言って、柊輔さんを見上げた。






「おいおい、彩芽ちゃん。急かすなよ。ちゃんと月香は俺がちゃんと嫁に貰うから。」







表情ひとつ変えずに、恥ずかしい事を言われると。




照れるのはいつも私。




だけど、柊輔さんも本当は照れてるって事を最近になって知った。




ただ、顔に出さないだけで。







そこへ、淳平さんも来て。






「今日は、ありがとな。」





「こちらこそ、呼んでくれてありがとな。」






「うん、ありがとうございます。彩芽をお願いしますね。」






ハニカミながら、任せとけ。と笑顔をくれた淳平さん。





彩芽が幸せそうで、本当によかった。
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