下弦の月
「八重と原田さんが居ませんよ?」






「二人共、餓鬼じゃねぇから大丈夫だろ。」






「そうですよね。」









花火が綺麗に見えるという河原に座って、



団子を頬張ると、このシンプルな醤油ベースの味が凄く美味しく感じた。






「美味しい…」






「そりゃよかった、この団子は甘くなくていいな…」






「甘い物は苦手なんですか?」






「自ら買って、食わないからな。苦手なんだろうな。月香は好きか?」






「私も…どちらかと言えば、苦手なんです。」






「甘い物は苦手って覚えとくよ。それより…浴衣、似合ってるぜ。」






「あっ…御礼まだでした、ありがとうざいます。」






「構わねぇよ、それくらい。」






「本当にありがとうございます。土方さんも…お似合いですよ。」






さりげなく、嬉しい事を言ってくれたから私の顔も赤いんだけど…






土方さんの顔も、月の出始めた空の下でもわかるくらい赤い。






「…そうか…」








土方さんが呟いた、瞬間。




夜空に大輪の花火が上がった。








そっと、肩に回された土方さんの大きな手に。




ドキドキしながら、京の花火を満喫した。











土方さんとの夏の夜の思い出。



いつか、現代に帰っても…このひとときを忘れませんように。
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