下弦の月
夏の空は、夕刻だというのにまだほんのり明るい。








その空の下、白地に桜の雪輪柄の浴衣を着ている八重と迎えを待っている。






屋台も出てるせいか…京の町はいつもよりも遥かに人通りが多い気がする。






そんな人の中に、浴衣を着た土方さんと原田さんの姿が見えて。






八重と顔を見合わせて、息を呑んでしまう。




あまりに二人が格好いいから。




すれ違う女性が振り返るほど。










「待たせたか?」






「…いえ…そんなには…ところで原田さんも一緒だったんですね…」






「八重も来るって聞いたからな…土方さんと月香が仲良いから居づらくないようにな。」






「…ありがとう、ございます。」






原田さんの言葉が言い訳に聞こえたのは…私だけじゃないようで、




土方さんと瞳が合うと、二人でこっそり微笑んでいた。






「ほら、行くぞ。」






私の手を取った土方さんは、原田さんと八重にも声を掛けて。






賑やかな屋台の方へと足を伸ばした。








「何か食いたいもん、あるか?」






「お団子、食べたいです。」






「久しぶりに俺も食うかな。」






歩く先に、見つけた団子屋さんの屋台で土方さんが買ってくれて、






後ろを振り返ったが原田さんと八重の姿はなかった。
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