下弦の月
それからーーー、






まだ寝てなさい。と言う八重さんに、






「大丈夫です。」






と、夕食の準備を手伝わせてもらった。






確か、この時代では勝手場という台所で。






「どうして…八重さんは、土方さんと知り合いなんですか?」






さっきのやり取りや、名前で土方さんが呼んでいたから、気になって聞いていた。






「もしかして…土方さんに惚れた?」






なんて言葉が返ってきて、違います!と全力で否定するが。





「顔が赤いわよ。」






と、笑われてしまって。






俯くと、可愛いわね。と頭を撫でて。






「私は、新撰組のみなさんの髪を結っているのよ。ちょうど…3カ月くらい前ね、土方さんが家に訪ねて来てね。髪を結ってくれって……それからね、他の隊士の方も来るようになったの。」






そうだったんですか。と頷くと、






「土方さんも綺麗な顔してるけれど、他の隊士の方も美形よ。」







って…笑った。
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