下弦の月
だけど………





兄のような存在だった二人が、新撰組を離隊して行った。








「月香ちゃん…君が来るようになってから、辛い時もあったが毎日が楽しかったぜ。いつだか、一緒に見た桜は忘れねぇ。ありがとな。」







「はい、離れても皆を忘れないで下さい。」







「当たり前だ。忘れたくても、忘れられねぇよ。」







頷いた私の頭を撫でてくれた永倉さんの手の温もり、




この大きな無骨な手には感謝しても足りないくらい、



救われていた。








「月香…お前は…あの人を頼んだぜ。」







「はい…原田さんも生きて下さいよ?そしてまた…会いましょう?必ず…」







「ああ…必ず会おうぜ。」






そして、原田さんは八重と斎藤さんの方を向くと。







「斎藤…俺の分まで八重を守れよ。そして、お前も生きろ。生きて…また酒を飲もうぜ?」






「あっ…ああ…また飲もう。」








原田さんには、たくさんの元気と優しさをもらった。




原田さんが、最初に私に。





土方さんを頼むって言ってくれたから、




気持ちを自覚して、力になろうと決心できた。





土方さんとの思い出も作れた。






この人にも、感謝しても足りないくらいだ。






だから二人に心からの、





「ありがとう…ございます。」





感謝の想いを伝えた。








永倉さんと原田さんは、




この後……靖兵隊を結成する。





だけど、原田さんは離隊して彰義隊という部隊に加わり…



重症を負って亡くなったとも生き延びて大陸を渡ったとも、言われている。







永倉さんは、北関東を中心に闘い続けるが…




会津藩の降伏を知り、江戸に引き返して。




後に、『新選組顛末記』を執筆する。





これは、私が新撰組に興味を持った著書のひとつ。
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