下弦の月
江戸の釜屋に陣を構えて程なくして新撰組は、





土方さんの指示で洋装に改めた。







私も八重も、土方さんの指示で用意してくれた洋装に改める事になった。






洋装になって、長かった彼らの髪も私と八重が切る事になり、




八重も腰まであった長い髪を胸くらいまで切り、




私も、タイムスリップするまで胸まであった髪がすっかり伸びて腰くらいまでになった髪を、



また胸まで切り、





ひとつに束ねた。






回復して合流した近藤さんは、和装のままだが。




近藤さんの護衛と証して、合流した沖田さんも洋装に改めた。








その後、甲府鎮撫隊として甲州勝沼の戦いに向かった。





だが、敵陣に甲府城は落とされていて。





土方さんは、私を連れて援軍要請に向かった。



しかし、失敗に終わった。








「くそっ!近藤さんには、負け戦なんて経験させたくねぇんだ…」







「…土方さん…」






「…月香…もう俺達に勝機はねぇのか?」






「…土方さんがそんな弱気でどうするんですか?貴方なら、大丈夫です。新撰組なら大丈夫です、皆がいるでしょ?」







「…そうだよな…まだまだ喧嘩は終わってねぇんだ。必ず…勝ってみせるさ。」






「はい!それでこそ、土方さんです。だけど…一つだけ約束して下さい?」






「約束?」






「はい。土方さんの背中にはたくさんの重い荷物が背負われています、その荷物を半分とは言いませんから少しでも…私にも預けてくれるって。」







「月香…お前に俺はもう半分、預けてるぜ。お前が居なきゃ俺は…今頃、此処に立って居なかったかもしれねぇ。月香が…辛い時もどんな時も、側に居て支えてくれていた。だから、俺は前だけを見て歩いて来れたんだ。それだけでは、預けてる事にはならねぇか?」








「…いいえ…充分です…」






「ああ…この喧嘩を共に乗り越えたら…ちゃんと気持ちを伝えるから、待っていろ?」







「はい…待ってます。」






「おう、早く甲府に戻らないとな…」






頷いた私を馬に乗せて、手綱を握って甲府にまた…





馬を走らせた。






しかし、また敗戦。





流山に向かって、再起を図る事になった。
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