下弦の月
《土方 歳三》



初めて、お前を見た時に……




胸を針で刺されたような痛みが走った。





その時に、“これが恋なんだ”とすぐに気付いた。





だが、そんな事は…近藤さんと京へ旅立った時から故意に避けて生きて来た。





近藤さんのために生きる。と決めた俺には煩わしいものだったからだ。





それでも、気付いちまったら止められなかった。





少しでも、お前を側に置いておきたくて。




屯所での仕事を頼んだ。





俺が辛い時、お前の言葉に温もりに救われた。




いくら新撰組のため、近藤さんのためとはいえ、




鬼でいる事に疲れた時、心が休まるのは……




お前の陽の光りみたいに明るい笑顔だった。





俺には、お前が必要だった。




ずっと……お前に支えられていたんだ。







月香……好きだ。
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