下弦の月
初めて口にした月香への想い、





きっと泣いてるんだろうと、身体を少しだけ離すと。





予想通り、泣いていた。





気が強いくせに、すぐに泣く月香も好きなんだ。





こいつの涙は、どんな涙でも綺麗だから。








「お前も…聞かせてくれよ?」






涙を拭ってやって答えを求めると、






「私が…土方さんに…気持ちを話す前に、話さなければいけない事があります。聞いてくれますか?」






「ああ…それなら、椅子にでも座って聞いてやるから座れ。」





何となく…込み入った話だろうと思い、





長椅子に月香を座らせ、俺も隣に腰を下ろした。









月香の口から語られた、その話は……






未来から来たという、驚くような内容だった。




だが、話を聞いて……一人で泣いていた事も理解できた。





今まで俺達が体験して来た出来事の全てを知っていたから、





別れを知っていたから。









「月香……お前は…俺の最後も知ってるんだろ?」







「はい…ですが…土方さんには…生きて欲しい。土方さんが生きて下さるなら…私はこの時代に残ります…」







真剣な瞳には、固い意志が見えた。
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