恋歌-Renka-



私の視線に気づいたのか
西谷は「一緒に頑張ろ?」
なんて無邪気に笑いかける。



その仕草に少しドキッとする。



急にタメ口になったのに
なんか違和感はなくて
西谷となら頑張れる気がした。




何故、人間嫌いの私が
西谷に敵対心を持てないのか…




今わかった。




西谷の雰囲気が汐莉おばさんに
似ている気がするからだ。




私は何だか嬉しくなって



「うん、頑張ろう」




精一杯の笑顔を西谷に向けた。




すると西谷がいきなり
顔を背けるから
少し驚いて顔を覗く。




「どうした?」



「いや、何でもないよ!」



そうは、言ってるが………



顔が真っ赤じゃないか。
< 19 / 277 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop