来世にご期待下さい!〜前世の許嫁が今世では私に冷たい…と思っていたのに、実は溺愛されていました!?〜
 押し寄せる恥ずかしさがストッパーとなりようやく唇を引き結べた時、察しのいい――いや、もしかすると恋幸の表情が全てを物語っていたのかもしれないが、裕一郎は目を細めてわずかに首を傾けた。


「……花に、嫉妬したんですか?」


 表情自体は変化を見せていないがその声音はどこか嬉しそうで、恋幸は耳の熱さを感じつつ彼の胸元に目線を落とす。


「はい」


 ウサギ相手にほんの一瞬でもやきもちを妬いてしまうなど、穴があったら入りたい。

 肩を縮こまらせてそんな風に考える彼女の頭を裕一郎はひどく優しい手つきで撫でると、余った片腕を背に回しておもむろに抱き寄せた。
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