来世にご期待下さい!〜前世の許嫁が今世では私に冷たい…と思っていたのに、実は溺愛されていました!?〜
「く、倉本さん?」
「よしよし、可愛い可愛い」
(へ!?)
「花にも同じように触れている……と、思いますが、貴女とあの子では別々の可愛がり方をしているつもりですよ」
「!!」


 さすがの彼も、呆れるなり困惑するなりマイナス方面の反応をするのではないだろうか? と身構えていただけに、予想外の方面から包み込まれてしまった恋幸はきゅうと胸が締めつけられるような感覚をおぼえる。


「……倉本さん、好きです。大好き」
「はい、知っていますよ」
「倉本さんの良い匂いも大好きです」
「ありがとうございます。今晩帰った時に、香水もお見せしますね」
「えへへ、楽しみにしてます」


 衝動に任せて抱きついた彼の服からはどこか懐かしい金木犀(きんもくせい)の甘い香りがほのかに(ただよ)い、恋幸は「このまま時間が止まってしまえばいいのに」と今この瞬間の幸せを静かに噛み締めていた。
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