空を舞う金魚
その後、少し遅めのお茶をして先週の仕事の話を聞かせてもらった。
「私が前の仕事から今の自動運行システムの仕事に移って三年経つけど、いよいよ仕事が大詰めなのよね。砂本さんは毎日ビデオ会議してるから、渡瀬くんが飲み込み早くて助かってるわ。勝手が分からなかったのなんて、最初の二週間くらいじゃない? 今じゃ『え? 渡瀬くんってこの前来た人だっけ?』ってくらい馴染んでるし、実際渡瀬くんが居ないと回らないタスクも増えたわ。K大出身だし、やっぱり頭良いのね、彼」
そうだろうなあ。そうじゃなきゃ生徒会長なんて務まらない。遠いなあ、と思っていると、滝川が微笑んだ。
「渡瀬くんが早くうちに馴染んだのは、千秋ちゃんが居たからかもしれないわね」
「えっ」
同級生だとは言ってない筈だけど、渡瀬と喋ってるところを見られただろうか。
「時々渡瀬くんが千秋ちゃんのことを見てるの、知ってるのよね。どういうつもりか分からないけど、千秋ちゃんが居ることで、渡瀬くんが馴染んでくれたんだったら、うちのチームとしてもこれほどありがたいことはないわ」
「わ……、私は、なにも……」
滝川たちのような仕事は、何も出来ない。そう言うと、千秋ちゃんも出来る仕事があるのよ、と滝川は言った。