ふたりぼっちの孤城
しかも感情は書類ほど簡単に消すことが出来ない。

もし山吹とわたしが両思いだとバレれば、山吹がわたしに不埒なことをしたとして解雇され引き離されてしまう。

そうなったらわたし達は生き地獄の苦しみを味わうことになる。

想像するだけで身の毛もよだつ。

息の仕方すら忘れてしまいそうだ。

両思いになれば満足すると思った。

でもそれは間違いで、寧ろ以前より山吹がなくてはならない存在になった。

甘さで焦がれる度、苦味が増していく。

果たしてわたしはそれを喜んでいいのだろうか。

何もかも初めてで右も左も分からない。

そんなわたしの不安は他のことで上書きされることになる。


「そういえば再来週会って欲しい人がいるんです」
「誰?貴方が人に会って欲しいって言うなんて珍しいわね」
「貴方の義両親になる人達です」
「────義両親?」


他でもない山吹の手によって。
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