ふたりぼっちの孤城
椿の婚約者
義両親。

その単語が頭の中を行ったり来たりしている。

義両親というと配偶者の両親に使うイメージしかない。

つまりわたしに婚約者ができるということだろうか。
いや山吹がわたしが嫌がることをするはずがない。

山吹だって裏で手を回し縁談を潰すほど、わたしに婚約者ができることを疎んでいた。

となればわたしを誰かの養子にでもするつもりだろうか。
いやその場合は義両親ではなく養親と表現するだろう。

考えては否定して考えては否定してを繰り返して頭がおかしくなりそうだ。

今のところ1番可能性が高いのが、わたし達に都合のいい人をわたしの婚約者をでっち上げることだ。

それなら山吹がわざわざ義両親と言ったことにも納得できる。

婚約者(仮)もやむを得ない事情で好きな人と結ばれない人だとなおよし。

そのまま結婚してお互い好きな人と幸せに暮らす。

それなら丸く収まるだろう。

だがそれはわたしと山吹が同じ墓に入れないということだ。

戸籍上は他人で、ただの雇用主と被雇用者にすぎない関係。

埋まらない身分差。

果たして山吹はそれで満足できるのだろうか。

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