ふたりぼっちの孤城
少なくともわたしは舐められているのだろう。

姉にも義妹にも劣っているのだから。


「いつまで部屋に居座るの?」
「もっ、申し訳ありません・・・!」


わたしのスケジュールはちゃんと頭に入っているはずだ。

きっとこの後朝食が運ばれてくる。

ただ着替えているタイミングで無遠慮に入ってこられては堪らないので一応鍵を掛けた。

山吹相手だったら掛けなくても平気なのに。

そもそも鍵の存在自体、普段は全く意識しない。

わたしの不在時と寝ている間だけ締められているのだが、山吹は音を立てずに開け閉めをするため存在感がない。

それに山吹はわたしの肩を揺すらない。軽くポンポンとする程度だ。

朝起きて早々にいつもとの違いを実感した。


「・・・・・・居心地悪い」


朝からこの調子じゃ4日間もつだろうか。

いや、明日は理沙が来るかもしれない。

藤は「本日"から"」ではなく「本日"の"」と言っていた。

とりあえず理沙がやってきたら今日のことを問い詰めよう。

そう思いながらクローゼットを開けた。





朝食の味は可もなく不可もなくだった。

よくあるリゾートホテルの味。

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