ふたりぼっちの孤城
早くも山吹の料理が恋しい。

何も問題ないはずなのに不満があるのは、やはりわたしのことを考えて作ったか否かが関係すると思う。

愛妻弁当だとか愛情がこもっているだとか隠し味は愛だとか、世間はやたら愛を強調したがるが、なかなか的をいている。

あれ愛妻弁当は愛する妻が作ってくれからそう呼ばれるんだっけ。

まぁ要は作る側と食べる側の関係が良好であれば、それだけ料理も美味しくなるということだ。

それはそうとして、山吹がいない期間は学校があるので1日中息苦しい空間にいなくて安堵している。

難点と言えばやっぱり、山吹からの返信が遅いことだ。

いつもだったらどんなにくだらない内容に対しても5分も経たずに反応してくれるが、今日は半日が過ぎても連絡が無い。

それだけ忙しいのだろうか。休暇なのに。

案外休みを満喫しているのかもしれない。


(わたしの相手、もしかして負担だったのかしら・・・)








「お帰りなさいませ」
「・・・・・ただいま」


部屋に入って直ぐに違和を感じた。

藤が掃除をするために入ったのか、ルミの場所がいつもと違っていたからだ。

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