Rainbow
樹の瞳から涙がこぼれ落ちる。響たちの目が見開かれた。そして、「俺たちだって怖いよ」と冬斗が言う。

「人は、自分と違う存在を受け入れるのが難しい生き物だ。全ての人に理解してもらいたい、そう思っても心ない言葉をかけてくる人は大勢いる。こういう活動をしていても同じだよ。アンチはあるし、みんなどこかで怖がってる。でも、怖がってるだけじゃ世の中は変えられないからな」

「みんな、大きな勇気と覚悟で動いてる。少しでも俺たちの声が届くように、同じような人たちの支えになるようにって。だからこのグループの名前はRainbowなんだよ」

響がそう言うと、樹は子どものように頼りなく泣き出した。千春と莉奈が樹の肩に優しく触れ、光希がハンカチを差し出す。

「私ッ!皆さんと歌っていいですか?」

樹が顔を涙でぐちゃぐちゃにしながら訊ねる。響たちは顔を見合わせた。答えなんて最初から決まっている。

「もちろん!!」

歌い手グループに新しい仲間が加わった。六人の心の中にある虹は輝きを増していく。



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