本当の気持ち
本当の気持ち
自分のことで騒がれるのが大嫌いだった。
静かに騒がれずに片思いしているのが良かったのだ。
けれど、まさか片思いが両思いになるなんて思いもしなかった。
小学4年生の話だ。
飼育委員で部長と副部長という近すぎず遠すぎずという仲になった。
相手の名前は佐藤翼。
私は付き合いたいとかそういう気持ちはなかった。
ただ片思いを楽しんでれば良かった。
なのに、同じクラスの子が翼に私の気持ちを言ったのだ。
何て余計なことをしてくれる連中だと思った。
「未帆!」
等々、翼は私を呼んだ。
私の名前は青田未帆。
弱虫で毎日5回は泣いていたと言われる程の泣き虫だった。
私は翼に呼ばれたので、翼の元に行ったのだ。
翼は優しく私にこう言った。
「どうする?付き合う?」
Noとはさすがに言えないだろうと思い、私は黙って頷いた。
「うん」
「よろしくな」
「うん!ありがとう、翼」
ここまでは良かった。
仲良く帰った。
次の日のことだった。
休み時間に翼が私のクラスの廊下まで来てくれたのだ。
幸せだった。
これが付き合うって事なんだと。
「青田の彼氏ってどいつ~?」
「所詮、青田と付き合うくいの男だぞ。かっこよくねぇって」
私の彼氏の事で大騒ぎになっていたのだ。
男と付き合うくらいでこんな大騒ぎになるくらいなら別れよう。
私は思ってもいないことを口走ってしまったのだ。
「別れる」
最低な決断だった。
別れたくない。
もっと一緒にいたい。
帰らないで。
私の本当の気持ちは伝わらなかった。
そりゃ言わなきゃ伝わらないけど、言えなかった。
翼のことは大好き。
けれど、騒がられるのはもっと大嫌い。
翼はかっこ良かった。
色んな人が見ていることまでは気付けなかったけど。
何で翼みたいな優しくて格好いい人を私は逃してしまったのだろう。
中学・・・。まさかね。
でも、中学生で付き合えたら良いな。
等々、私も翼も中学生。
1年になった私は仲良くなった男友達がいた。
その人と話しているだけで私は幸せだった。
そんなある日、私のクラスの廊下に見たことがある顔の人が立っていた。
「翼・・・」
行きたい。話したい。もう一度、付き合いたい。
「ねぇ、ねぇ、未帆。あの人の名前知ってる?」
同じクラスの新しく友達になった須藤侑子ちゃんに聞かれた。
「えっ!?何で?」
「だって、あの人毎日、未帆のこと見に来てるじゃん。知り合いなの?
だったら名前教えて?私、あの人のこと好きなんだ」
私はいつも自分の気持ちは隠してしまう性格だった。
「佐藤翼」
また隠しちゃった。
まぁ、私よりも侑子ちゃんと付き合った方が幸せになれる。
「ありがとう☆未帆」
侑子ちゃんは嬉しそうにお姉さんの元に行ったのだ。
これで良いんだよね。
翼のことは好きだけど、侑子ちゃんと付き合った方が幸せになれるなんて嘘。
本当は今すぐ「大好き」って言いたい。
でも、侑子ちゃんは翼のことが好き。
私だけ幸せに何てなれないよ。
数日が過ぎ、翼のことも忘れてきた頃・・・。
「未帆、翼が会いに来てるよ。自分の気持ちに素直になったら?」」
「私はいつでも素直ですけど」
「良いの?翼、誰かに盗られちゃうよ?」
「それは翼が決めることでしょ」
「私、本気で翼のこと好きになっちゃうよ」
「ご自由に」
私は常に嘘つき。
本当は翼が大好き。
でも、侑子ちゃんが好きになるならそれは自由。
バレンタインチョコ、渡そうかな。
もう、あの頃みたいに仲良く話せないのかな?
また付き合ったら、周りが煩くなるかな。
どうしよう・・・・・。
どうして私はいつも自分の気持ちに嘘をついて、人の幸せばかり考えてしまうのだろう。
「翼がまだ未帆のこと好きなんだから、付き合えば良いじゃん」
でも、貴方も好きでしょ?侑子ちゃん。
「もう良いんだよ。これで」
翼は私が付き合えないと言ったら、もう2階から降りて来てくれなくなった。
終わった。
これで良かったんだ。
時が過ぎ、侑子ちゃんが『のじ子』と呼ぶ相手が翼と付き合ったと聞いた。
相手、見付かったんだ。良かった。
「未帆、翼がのじ子と付き合っちゃったよ。未帆はそれで良いの?」
「良いも何も翼が決めたことでしょ。私には関係ない話だよ」
関係ないか。大嘘。何で私は常に嘘つきなんだろう。
せめて、もう一度付き合えたら何て気持ちは終わった。
後は翼が幸せにさえなれば良い。
私は私で好きな人も出来たし、お互い別々の道を歩んで行くのが本当の幸せなのかもね。
確かに同じ道を歩んで行く幸せもあったかもしれない。
けれど、今はお互い別々の道を見てしまった。
翼、今は幸せ?
どんな職業についた?
誰と結婚した?
もう一度、会いたいね
こんな気持ちはもう叶わない。
聞くことすら出来ない。
ごめんね。
私が素直になっていればお互い同じ道を見て行けたのかもしれないね。
もう会えない。
私は今でも貴方のことが好き。
最後にもう一度、私の素直な気持ちを伝えたい。
私の本当の気持ちは翼が大好き
END
自分のことで騒がれるのが大嫌いだった。
静かに騒がれずに片思いしているのが良かったのだ。
けれど、まさか片思いが両思いになるなんて思いもしなかった。
小学4年生の話だ。
飼育委員で部長と副部長という近すぎず遠すぎずという仲になった。
相手の名前は佐藤翼。
私は付き合いたいとかそういう気持ちはなかった。
ただ片思いを楽しんでれば良かった。
なのに、同じクラスの子が翼に私の気持ちを言ったのだ。
何て余計なことをしてくれる連中だと思った。
「未帆!」
等々、翼は私を呼んだ。
私の名前は青田未帆。
弱虫で毎日5回は泣いていたと言われる程の泣き虫だった。
私は翼に呼ばれたので、翼の元に行ったのだ。
翼は優しく私にこう言った。
「どうする?付き合う?」
Noとはさすがに言えないだろうと思い、私は黙って頷いた。
「うん」
「よろしくな」
「うん!ありがとう、翼」
ここまでは良かった。
仲良く帰った。
次の日のことだった。
休み時間に翼が私のクラスの廊下まで来てくれたのだ。
幸せだった。
これが付き合うって事なんだと。
「青田の彼氏ってどいつ~?」
「所詮、青田と付き合うくいの男だぞ。かっこよくねぇって」
私の彼氏の事で大騒ぎになっていたのだ。
男と付き合うくらいでこんな大騒ぎになるくらいなら別れよう。
私は思ってもいないことを口走ってしまったのだ。
「別れる」
最低な決断だった。
別れたくない。
もっと一緒にいたい。
帰らないで。
私の本当の気持ちは伝わらなかった。
そりゃ言わなきゃ伝わらないけど、言えなかった。
翼のことは大好き。
けれど、騒がられるのはもっと大嫌い。
翼はかっこ良かった。
色んな人が見ていることまでは気付けなかったけど。
何で翼みたいな優しくて格好いい人を私は逃してしまったのだろう。
中学・・・。まさかね。
でも、中学生で付き合えたら良いな。
等々、私も翼も中学生。
1年になった私は仲良くなった男友達がいた。
その人と話しているだけで私は幸せだった。
そんなある日、私のクラスの廊下に見たことがある顔の人が立っていた。
「翼・・・」
行きたい。話したい。もう一度、付き合いたい。
「ねぇ、ねぇ、未帆。あの人の名前知ってる?」
同じクラスの新しく友達になった須藤侑子ちゃんに聞かれた。
「えっ!?何で?」
「だって、あの人毎日、未帆のこと見に来てるじゃん。知り合いなの?
だったら名前教えて?私、あの人のこと好きなんだ」
私はいつも自分の気持ちは隠してしまう性格だった。
「佐藤翼」
また隠しちゃった。
まぁ、私よりも侑子ちゃんと付き合った方が幸せになれる。
「ありがとう☆未帆」
侑子ちゃんは嬉しそうにお姉さんの元に行ったのだ。
これで良いんだよね。
翼のことは好きだけど、侑子ちゃんと付き合った方が幸せになれるなんて嘘。
本当は今すぐ「大好き」って言いたい。
でも、侑子ちゃんは翼のことが好き。
私だけ幸せに何てなれないよ。
数日が過ぎ、翼のことも忘れてきた頃・・・。
「未帆、翼が会いに来てるよ。自分の気持ちに素直になったら?」」
「私はいつでも素直ですけど」
「良いの?翼、誰かに盗られちゃうよ?」
「それは翼が決めることでしょ」
「私、本気で翼のこと好きになっちゃうよ」
「ご自由に」
私は常に嘘つき。
本当は翼が大好き。
でも、侑子ちゃんが好きになるならそれは自由。
バレンタインチョコ、渡そうかな。
もう、あの頃みたいに仲良く話せないのかな?
また付き合ったら、周りが煩くなるかな。
どうしよう・・・・・。
どうして私はいつも自分の気持ちに嘘をついて、人の幸せばかり考えてしまうのだろう。
「翼がまだ未帆のこと好きなんだから、付き合えば良いじゃん」
でも、貴方も好きでしょ?侑子ちゃん。
「もう良いんだよ。これで」
翼は私が付き合えないと言ったら、もう2階から降りて来てくれなくなった。
終わった。
これで良かったんだ。
時が過ぎ、侑子ちゃんが『のじ子』と呼ぶ相手が翼と付き合ったと聞いた。
相手、見付かったんだ。良かった。
「未帆、翼がのじ子と付き合っちゃったよ。未帆はそれで良いの?」
「良いも何も翼が決めたことでしょ。私には関係ない話だよ」
関係ないか。大嘘。何で私は常に嘘つきなんだろう。
せめて、もう一度付き合えたら何て気持ちは終わった。
後は翼が幸せにさえなれば良い。
私は私で好きな人も出来たし、お互い別々の道を歩んで行くのが本当の幸せなのかもね。
確かに同じ道を歩んで行く幸せもあったかもしれない。
けれど、今はお互い別々の道を見てしまった。
翼、今は幸せ?
どんな職業についた?
誰と結婚した?
もう一度、会いたいね
こんな気持ちはもう叶わない。
聞くことすら出来ない。
ごめんね。
私が素直になっていればお互い同じ道を見て行けたのかもしれないね。
もう会えない。
私は今でも貴方のことが好き。
最後にもう一度、私の素直な気持ちを伝えたい。
私の本当の気持ちは翼が大好き
END