桜が舞い、君に出逢う。
「ね〜美緒〜。」

嫌な気配がして、

冷や汗がたらりと背筋を流れる。

「話あるから来てくれない?」

いつぞやの、いや昨日ぶりの、

友人ABCだ。

私は彼女らに腕を引かれて、

廊下に出された。

「ねぇ昨日さ〜、久遠とは何もないって言ってたよね〜。」

確かに、そう言った。

アイツが突っかかってくるのを

捉えなければ、私とあいつには何も無い。

「随分仲良さそ〜に喋ってんじゃん?」

怖い、陽キャの圧が。とっても怖いです。

「アイツが、話しかけてくるから…」

ボソリと声にした言葉は、

相手の苛立ちを増してしまった。

「は?なに久遠のせいにしてんの?嫌なら話しかけてこないでっていえばいいじゃん。嫌いなら嫌いっていえばいいじゃん!?」

「言った!言ったのに全然、気にも止められない!」

「へぇ〜、じゃあ無視しなよ。」

「でも無視したら…」

「なに、可哀想って?ほら、久遠のこと好きなんじゃん」

「はぁ?」

「あんなイケメン、そうそういないってのに…。」

友人Bの呟きは、私の耳には届かなかった。
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