御曹司の極上愛〜偶然と必然の出逢い〜
「社長、フランスに出張です」

「はぁ?春樹行ってきてくれよ」

「何言ってるんだ?社長の仁が行かなくてどうするんだ?」

 仁の言葉に思わず素が出る春樹。

「真琴が臨月に入ったんだぞ?いつ産まれるか……」

「初産は時間が掛かるとリンダが言ってましたよ」

 ドバイの病院で出産予定の真琴が不安にならないように、リンダの友人がいる産婦人科を紹介してもらい、検診にも毎回リンダが付き添ってサポートしてくれている。もちろん仁も仕事の合間に駆けつける。

「それでも、間に合わなかったらどうするんだ。子供にとって一生に一度しかない瞬間なんだぞ」

「はあ……。そう言われましても……。予定日前後は変更可能な予定しか入れてないんです。まだ三週間あるんですから、今のうちに終わらせましょう」

「日帰りにしてくれ」

「予定が終わり次第帰れるように手配しますから」

「しょうがないな……」

 渋々だ。先が思いやられる春樹だった。

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