御曹司の極上愛〜偶然と必然の出逢い〜
 彼女が気になり、寺から出て歩くあとを追ってしまう。まるでストーカーだなと、自分で自分の行動に笑ってしまう。

 俺から見たらまだまだ儚く見える彼女が、一軒の店に入っていく。

 直ぐに俺も入ろうと思ったが、スマホが鳴った。

「仁、今大丈夫か?」

「ああ」

「無事終わったか?」

「ああ。お袋達とは別れたよ」

「迎えに行くよ。朝一戻るからな」

「春樹、迎えに来なくていい。明日空港に直接向かうから」

 言い捨てこれ以上あれこれ聞かれないように、電源から落とした。

 もちろん、後で春樹に怒られたが俺はそれどころではないのだ。

 彼女が入ってから少し時間が経ってしまったが、急いで店に入った。

 外の人通りの少なさと反して、店は賑わっていた。俺は、入って中を見回す。

「いらっしゃいませ」と落ち着いた男性店員が声を掛けてくれたが、店内に入った瞬間から女性客の視線があちこちから突き刺さる。

「お一人様ですか?」

「あっ、いえ。知り合いが……。あっ、カウンターの端に座っているので、横の席いいですか?」

「はい。どうぞ」

 案内を断り、間隔の空くカウンター席の、彼女の隣に腰を掛けた。



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