俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜

(何だ……)



何故、そう思い込んで勝手に辛い思いをしていたのか、考えると笑えてくる。

もっと早く気付いていれば、もう少し楽に生きていけただろうか。



(……いや)



でも、そこは後悔しない。

辛い思いをしていたからこそ……彼女と出会えたのだから。




段々と、眼鏡スーツの姿が霞んでいく。

何となく、わかる。

俺もやっと、待ち望んでいた旅立つ時がきたのだ。

罪を償わずに逃げるようなカタチとなるのはわかってはいるけど。



でもこれで、ようやく……彼女の待つ地獄へと行ける。



(ナーガ……いや、真衣……)



君は待っていてくれてるだろう。

俺に、どんな言葉をかけてくれるだろうか。




『何も無くなった世界で、二人で過ごしたい。ただ、二人で肩を寄せて』




俺たちの望み、やっと叶えられるよ。




そう思うと、久しぶりに心からの笑顔を作れたような気がした。








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