マリオネット★クライシス

自分の予想は甘かったらしい。
事態は想像以上に深刻になっていたようだ。

やはり異性関係はもっと早く、もっと厳しくチェックしておくべきだった。

まさかこんな要求をされるとは……


「善処する、としか今は言えないわ。それでいいなら……えぇ、取引成立ね」

舌打ちを堪え、疲れた口調で言って通話を切る。

まったくとんでもないことになったわ、と毒づきながらこめかみを強く押さえ――けれど、その瞳はギラギラと、より強い光を放っている。

とにかく、あの子が誰と一緒に行動しているかはわかったのだ。
たとえ今は、それだけで満足するしかないとしても……


「申し訳ないんだけど、行先変更してもいいかしら」


運転手へ告げた潤子は、膝の上でスマホをきつく握り締めた。


（あの子、次に会ったら覚えてらっしゃい）


（私にこんなことをさせるなんて――ただじゃおかないから）