マリオネット★クライシス

目を丸くするわたしへ、「いや、直接は知らないけど」と答えてから、少しだけ言い淀む。
「……でも大体予想はついてる。オレには、敵がいるから」

「て、敵っ?」

「そう。上手くカモフラージュしたつもりだったけど、どうやら日本にいるのがバレたらしいな。で、人を使って探してるってとこだろ」

「ど、どういうことっ!? 追われてるなんて、ホントに何か、悪いことしたの!?」

たまらず身を乗り出すと、「は? 悪いこと?」って、面食らったようにジェイがきょとんとする。

「だってあの人たち、ジェイの事“お尋ね者”だなんて言ってたしっ……」
「ちょっと待った」
しなやかな上半身が跳ねるように起きた。

「あの人? お尋ね者って?」

「え? あ、あぁお尋ね者って言うのは……」
「いや、意味はわかる。警察に追われてる人のことだろ? なんでオレが?」

何のことかわからない、って本気で困惑してる空気が伝わってくる。
わたしの聞き間違いだったのかなって自信なくしちゃうレベル。とても演技には見えない。

一瞬迷ったけれど、ひとまず事実を聞いてもらった方がいいだろうって判断して、「えっと……実はクレープの出来上がりを待ってる時にね」と、例の2人組のことをぽつりぽつり話し始めた。

< 171 / 386 >

この作品をシェア

pagetop