マリオネット★クライシス
10分ほど待っただろうか。
コン、ガチャッ
おざなりなノック音にかぶせるようにドアが開いて、一人のアラフォー男性が「しおりーん」と手を振りながら入って来た。
しおりん、わたしのことだ。うざっ。
パンパンに膨らんだポロシャツに、これまたパツパツのチノパンスタイルはもちろんブランド物だろうけど、全然高級感が感じられないのは……理由は追及しちゃいけない。
「どうしたんだよー。猪熊君には、9時半にシェルリーズホテルって伝えたはずだけど。メッセージ聞いてない?」
え、ホテルで待ち合わせ?
それは知らなかった。
留守電にもなかったと思うけど……件数いっぱいで、録音できなかったのかもしれない。
「すみません! 行き違いがあったみたいで」
立ち上がって謝ろうとしたわたしを「いいよいいよ、そのまま」と制してから、その人はたるんだ頬に人好きのする笑みを浮かべた。
「ちょっとびっくりしちゃったかな? シェルリーズなんて、泊るのはもちろん、入ったこともないでしょ。まだ18歳だもんねぇ」
「えっと、はぁ……」