マリオネット★クライシス

現れたのは黒い軽自動車だ。
マスコミが使うものにしては小さいなと思いつつ何気なく目で追っていると、通りに出たその車がジェイの前を過ぎて行く。

運転席に男が座っている。
後部座席に、女。

タレントの送迎だろうか……


次の瞬間、全身がブリザードの真っただ中に放り込まれた様に凍り付く。


ユウだった。


(どういうことだ、どうしてユウがっ……)


頭で考えるより先に、身体が動いていた。



全力で濡れたアスファルトを蹴る。




「待て!! 停まれっっ!! ストップだっっ!!」




車道に飛び出し、後ろからクラクションを鳴らされまくったが、構わず車を追いかけて走った。

< 264 / 386 >

この作品をシェア

pagetop