マリオネット★クライシス

視力には自信がある。
確かに、ユウだった。

眠っているように見えた。
眠らされた?


皮膚に張り付くずぶぬれの服、破裂そうに打ち続ける心臓も気にしてる場合じゃない。
ただ必死に足を前へ前へと出す。

見失ったら……その先は、考えたくもなかった。


しかし距離は無情にも、どんどん離れていく。



「ユウっ!!」



パッパッパーーーー!!!!!




隣の車線を走っていた車と接触しそうになり、間一髪で避けたが、水たまりに足が取られる。


「っつ、……!!」


ズルっと滑り、バランスを崩したまま派手に道の端へ転がった。



「死にてぇのかバカヤローーーー!!!」


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