マリオネット★クライシス

<こんないい加減な奴に、務まるわけないだろう?>

確かにこの神に愛されたとしか思えない美丈夫には、真面目とか一生懸命とか、そういう言葉は似合わない。
特に女性関係はかなりルーズだ。

それでも……とジェイは思う。

候補者の名前が何人挙がろうと、結局のところ総帥は、ライアン以外の人間に継がせることは考えたこともないのではないか。
そして、2人の間には血のつながりなどとは関係ない、別の何かがあるのではないか、そんな気がしてならないのだ。

今日だって、報告なんかメールやオンラインですませればいいものを、わざわざ彼をシンガポールに呼び出している……


<それで、父さんの方はどうなった?>

答えの出ないことは考えないことにして、今度はジェイの方から質問した。

<特にお咎めはないよ。まぁグループに不利益をもたらす契約は認められなかったからね。もちろん、ちゃんと真実を告げて回ってもらうけど>

<そっか、よかった……>

やはり安堵は隠せず、ホッと椅子の背に体重を預けた。

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