子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
 いつまでも俺の名前を呼ぶだけでときめいて、目も合わせられないぐらい照れてほしい。

 菓子作りの間も我慢していた想いが一気に込み上げ、琴葉の髪に指を絡めながらキスをする。

 彼女は柔らかい菓子が好きだと言うが、この唇より柔らかく甘いものを俺は知らない。

 だから、飽きずに何度も口づけてしまうのだ。

「……ん」

 小さな声が琴葉の唇の間から漏れ、ぐっと高ぶった熱を感じて深呼吸する。

 俺以外に経験のない彼女を大切に扱わねばと思うのに、いつもままならない。

 シーツの上に散った手を押さえつけ、手のひらを重ねて深く口づける。

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