子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
 指の隙間から覗いていた唇が、小さく開いてからきゅっと引き結ばれた。

「気持ちいいから……?」

 素直すぎるというのも困りものだ。

 言いたくない、わからない、と言ってくれればまだ俺だって堪えようがあるのに、直球でそんなふうに言われたらもう我慢できるはずがない。

「俺はおまえのその顔を見たくて襲ってるんだけどな」

 もっと焦らして彼女の反応を楽しみたかったのに、これ以上はもう無理だ。

 そんなに見られたくないなら、存分に見てやろう。彼女のそんな顔を見られるのは、この世界に俺だけなのだから。

 徹底的に愛し尽くすため、顔を隠す琴葉の手を掴んで再びシーツに縫い留める。

< 349 / 381 >

この作品をシェア

pagetop