子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
 いわゆるマーケティングを担当しており、老舗として古くからご贔屓にしてくれる顧客はもちろん、新規の顧客を取り込むための努力に日々尽力している。

 久黒庵が次に推していきたい商品は水ようかんとのことだった。

 これまで期間限定で販売していた小豆、こしあん、抹茶以外にも新しい味を用意することで、普段和菓子を手に取らないような客層にもアプローチしていきたいらしい。

 だから老舗の和菓子屋としては攻めているいちごやしょうがなどがあるのだろう。

「私がおいしいって言ったやつが商品になるの?」

「あくまで参考にするだけだ。公私混同はできないからな」

 それを聞いて肩の荷が下りる。

< 353 / 381 >

この作品をシェア

pagetop