元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています

ドキドキと鼓動が早鐘を打つ。

そんな私とは対象的に、ノエルは表情を曇らせている。

彼のその表情を見た瞬間、スッと冷静になれた私は、ノエルが何を考えているのかも凡そ理解できた。

「…兄、リアム・コックスについて本当に申し訳なかった。謹慎中の身で、まさかこんな暴挙に出るとは予想していなかった…」


「ノエルが謝ることではないわ。それに、私もあなたに謝らないと…我が家の侍女があなたからの手紙を隠してリアム様に渡していた、あなたに迷惑をかけてしまったわ」


「…それも、現況は兄の…」


「もう、いいのよ。リアム様のことでノエルに謝ってもらう必要はないわ。悪いのは彼であって、あなたではないもの。それに…ノエルは私が殴られそうになった時…助けてくれてた恩人よ、本当にありがとう」

そう言って、私が笑みをこぼせば、ノエルは一瞬目を見開く。

そして、

「…キャッ」

私の腕を軽く引っ張り、自分の方へと引き寄せてきた。

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