元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています
正体がバレるのではないかという緊張感からようやく解放されるということもあり、席を立つノエルに向かって最大限の笑顔でお見送りする私。
「エル様お気をつけて。ご友人としっかり向き合えますように祈ってます」
「…ありがとう」
ノエルは、私に向かって優しく微笑みを浮かべ、出口に向かって歩き出す。
その帰り際、彼は一度ガラスケースをみて、店員に向かって何か注文をしている様子。
おそらくエレノア(私)に買うお土産とやらを物色しているのだろう。
店員からスイーツの箱を受け取った彼の姿が店から消え、私はフッと肩の荷が下りたように感じた。
それにしても…
「ルーナはいったい何をしてるのかしら…」
私は一向に現れない彼女に首を傾げる。
まぁ、正直、ルーナがいたらノアがエレノアだってバレてしまう可能性が高かったからタイミングとしてはよかったのだが…。
そんなことを考えていると、
「お嬢様すみません、遅くなりました…」
申し訳無さそうに頭を下げ、ルーナが私の前の席…先程までノエルが座っていた席に腰を下ろした。
「…ルーナ、大丈夫?あんまり遅いから心配してたのよ」
「実は…えっと…あ!店の前でたまたま知り合いに合いまして…話し込んでたらすっかり時間が経ってしまっていて…」
少し疲れたような様子のルーナを私は怪訝な表情で見つめる。