元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています


「…す、すみません。私ったら初対面の方に…差し出がましい真似を…今の話は忘れてください」


「…いえ。貴女の…ノアの言うとおりだと思います。私も彼女とはきちんと話さないといけないと思っていましたから」


ノエルは、そう言ってくれたがこちらとしては非常に気まずい。


…あぁ。もう私のバカ。


その後、ノエルは話題を変えてくれたけれど彼に微笑む表情は少し引きつっていたかもしれない。


他愛もない会話をしてどのくらいの時間が経ったのだろう。

私にはかなり長い時間に感じた。


その時ふと、手元の懐中時計を見たノエルが


「…今日は貴女とお話できてよかったです。すみませんが私もそろそろ行かないといけないのでこの辺で失礼しますね。話し相手になってくださり、ありがとうございます」


と言ってお辞儀をする。


「い、いえ…こちらこそ…」


ようやく居心地の悪い席から解放されると安堵した。

ノアという架空の人物を演じるのも少し疲れてきた頃だったから。


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