元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています
何故かはぐらかしたような返答の彼に疑問をいだきつつも、
「…わぁ。すごいわ」
邸宅内に足を踏み入れた瞬間、私はあまりの人数の多さと華やかさに目を奪われてしまった。
いつも参加しているパーティーの数倍の規模ね。
「…まぁまぁ、あちらにいらっしゃるのはビクター家のご令嬢のエレノア様ね。素敵なドレスだわぁ」
「確かコックス家は、次男が跡継ぎとなるのだろう?長男がしでかしたことを考えると、しょうがないだろうが、それにしても兄の元婚約者とね~。初恋だのなんだの書かれていたのを今朝の朝刊で見たよ」
私とノエルが入ってくるのを見た近くの貴族たちがヒソヒソと噂をしているのが嫌でも耳に入ってくる。
好意的な貴族もいるようだが中には、物珍しそうに値踏みする視線も入り混じっていて…。
予想はしていたけれど、結構露骨に態度に出してくるのね。
シレッとそんな噂を話している貴族の横を通り過ぎながら私はそんなことを考えていた。