月下の少女

「逃げる?私が?冗談じゃない。さっさと終わらせるからかかってきなよ。」


私の軽い挑発に2人は簡単に乗せられて2人同時にかかってきた。


そんな見下してるくせに掛かってくる時は2対1なのね。
まぁ、いいけど。


私は体をかがめ攻撃を避けてから足元に1発蹴りを入れた。


思ったよりも手応えなくて2人で同時にコケてしまい、さっきまでの威勢は飛んで行ったようだ。


「なに?こんなもんで私にかかってきたの?この程度じゃこの世界で生きていけない。分かったらとっとと消えな。」


そう言い放つと2人は悲鳴のような声をあげフラフラと急ぎ足で消えていった。


毎日毎日、こんなのばっかり。


大して強くもないくせに見栄ばかり張る。


見た目がいかつくて目で威圧すれば大体の人は恐れて挑んだりはしない。


だからさっきみたいな被害者が沢山出るんだ。


私は夜になる度街に繰り出してこういったトラブルをおさめている。


それが私の唯一の使命。


お給料が出る訳でもないし、誰かに頼まれた訳でもないけど、自分でやりたくてやってる。


何もやることがない私の唯一できること。


勝手に役目だと思い込み、それを全うしようと毎日活動しているが、トラブルはなかなか減らない。


いい加減、トラブルがない世界ってのは来ないのかな。


私がいくら望んでも、願っても世界は変わらないのは私が一番よくわかってるんだけどね。

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