少女と過保護ーズ!!

招かれざる客

「いらっしゃいませ」



お客様が帰った後のテーブルの片付けをしていると、鐘が鳴ったので顔を上げ……ウゲッとなった。


笑顔も中途半端。


きっと不細工であろう、この笑顔は絶対に八雲さんには見せられない。




「ここかぁ。"黒豹"の溜まり場は」


「でもアイツら誰も居ねぇじゃん」




耳障りな声が店内に響く。


ポカポカ陽気の和やかな空気が一変、不穏なものになる。



店内には、仕事をしているサラリーマンと大学生と思われる女の人が二人。

そしてゴスロリファッションの女の子の四人のお客様。



岡田さんはキッチンで、凛さんは外出中だ。


良かった、凛さんが居なくて。


妊婦さんにこんな悪意にまみれた声は聴かせられない。


赤ちゃんに悪影響だ。



それでもお客様には変わりないので、一先ずテーブルの片付けを後回しにして、ガラの悪い如何にも不良といった二人組の前に立つ。


その際、営業スマイルは忘れない。



「いらっしゃいませ、お客様。お二人様ですか?」


「あーー?」


「おっ、アンタここの従業員か。なぁ、聞きてーことあんだけど」




……無視ですか。

あたしの問いかけは無視ですか。


そっちがその気なら




「お席にご案内」


「ここ、"黒豹"の溜まり場だろ?」




聞いてくる。


あたしを覗きこんで、ニヤける男。


見たところ、どっちも制服を着てるけど……学校はどうしたよ?



んで、顎ヒゲって……。

制服に顎ヒゲって……。


ミスマッチこの上ない。




どっちからにしろ!!


顎ヒゲを剃って学生になるか。

制服を脱いでオッサンになるか。







……何が言いたいのかわからなくなってきた。




「おいっ!!聞いてンのかよ!?」




聞いてねぇよ!!


アンタの容姿にツッコミまくりだよ!!
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