少女と過保護ーズ!!
はい、鉄拳制裁頂きました。


未だに不機嫌な麻也から。



ゴチゴチーンッゴチッ!!



情け容赦ない拳骨くらい撃沈するあたしと桂。



因みにゴチッがあたしで

ゴチゴチーンッが桂である。



ふふっ、日頃の行いの差である。


う”う”…麻也、痛恐い…。



まっでも、用事がある人は必ず用事を優先。


学校は極力サボらないってのは約束してもらったので良し。


そしてもう1つ。


八雲さんの指示で、ホイッスルを下げているチェーンがゴムに替えられたんだけど……。


これなら怪我をしないだろうとのことだったんだけど……。


怪我したね…。

前歯が折れるかと思ったね…。


それもこれも、桂のバカタレが



『この前の仕返しだ』



とか、なんとか言いって、あろうことかホイッスルを掴んでゴムを引っ張り、離したのだ。


一瞬、ほんの一瞬の出来事。



『触るなっ』



と叫んだ時には、勢い良く戻ってきたホイッスルが……




首ではなく、あたしの前歯に激突した。



『〜〜〜っっ!?』




あの時は、折れたと思ったね。

本気で折れたと……。



『ひーっひっひっひっ!!お笑い芸人かっっ』



『チ…チビ姫…』


『スゲェ音がしたけど大丈夫…か?』



閉店後の掃除を手伝ってくれていた、護衛の井岡と有馬が慌てて近付いてきた。



『大丈夫』



そう言おうとしたけど、口が…歯が痛くて喋れない。


その内ボロボロと涙まで出る始末。



『ひーっひっひっひっひっ』


『!?』


『まっ待ってろ!!今、冷やすもんっっ』



出会ってから今まで、泣いたことのないあたしが泣いたものだから井岡と有馬は右往左往し、桂は笑いすぎて呼吸困難になりかけていて……。



もう痛いやらムカつくやらで。



吹いた。

吹いてやった。


全力でホイッスルを吹いてやった。



今まで吹いたことのないホイッスルを。


あの二人組が来た時でさえ吹かなかったものを。
< 63 / 311 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop