笑顔の花が咲くまでは#8~私は同性愛者~
ニュースを見て取り乱すエヴァンを、何とかサルビアは落ち着かせようとする。

それを見ていた画家のフリージア・テイラーは口を開いた。

「あの2人なら大丈夫だ。それより、今は俺たちがすべきことをしよう」

「……そうだよね。フィオナは、強いんだ……僕が守られるくらいだし……」

フリージアの言葉に、エヴァンは頷いた。



「乗客の解放?……それは、無理な話だな」

バスジャックの犯人である男性に乗客の解放を求めたシオンは、男性に銃口を向けられていた。

しかし、シオンは怯えることなく「バスジャックをしたのには、何か理由があるのですか?」と男性を見つめる。

「……」

シオンの言葉に、男性は銃を下ろすと俯いた。男性の銃を持つ手が震える。

「……実は、俺……同性愛者なんです。俺が好きになった同性は、とても優しい人で……その人と結婚して、幸せだった……なのに!パートナーは、このバス会社のバスに轢かれて死んだ!このバス会社に殺された!!だから、復讐としてバスジャックをしたんだ」

男性の話を静かに聞いていたシオンは、微笑んだ。

「……実は、私も同性愛者なんです」

シオンの言葉に、男性はゆっくりと顔を上げる。フィオナも、シオンに目を移した。
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