幼なじみにつきまとわれています


…────────


おじさんがいなくなった日も、今日みたいに暑くて。蝉の声が、うるさくて。


よく晴れ渡っていたなぁ。


あれから4年になるけど。


夏になると、毎年思い出す。


8月のあの日。


おじさんのこと。

あの日の、乃々ちゃんの泣き顔。

そして、乃々ちゃんの言葉。


『たっくん……ずっと乃々のそばにいて? パパみたいに……いなくならないで』


あの言葉、乃々ちゃんはもう忘れたかもしれないけど。


「そう……だったんだ。まさか、拓海とパパがそんな話をしていたなんて」


乃々ちゃんが一瞬、空を仰いだ。
おじさんのこと、思い出させちゃったかな。


「おじさんのこと思い出させて、辛くさせてしまったらごめんね?」


「ううん。大丈夫だよ。そのこと、聞けて良かった。
もしかして……パパとの約束を守って、拓海はいつもわたしについてきていたの?」


「うん。だっていつも近くにいないと、乃々を守れないでしょ?」


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