聖女としてきたはずが要らないと言われてしまったので、異世界でふわふわパンを焼こうと思います。


 そして翌日、おもてなしのために朝早くからパンを焼いていた。


「メル様! 旦那様がお呼びです!」

「え? オスマンさんが?」

「はい、急ぎとのことですっ!」


 従者の慌てように私は手を洗ってアルベルトさんに一言言ってからその人に付いてホールに向かった。


「メルちゃん!」


 ホールに行くと、ファンタジーアニメで見るような服を着ている男性が三人いて二人が血で汚れている状態だった。

 日本でもこんな状況見たことなくて、気持ち悪さを感じる。だけど呼ばれたからオスマンさんに近づいた。


「メルちゃん、前にやってくれた『ヒール』をやってくれないか!?」

「えっ……」

「メルちゃんなら大丈夫だ! 君は、この世界の者より魔力が大きいんだよ」


 私は医者でも看護師でもない。

 医学を学んだこともないし、医療現場も見たことない……そんな私がこの人たちを助けられるの?



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