聖女としてきたはずが要らないと言われてしまったので、異世界でふわふわパンを焼こうと思います。



「メルちゃん!」


 でも、オスマンさんたちの役に立ちたい……やるだけやってみよう。

 私は、以前教えて貰ったように手を彼の体に近づけて力を掌に集めた。


「……ヒール」


 そう唱えると私の周りだけ風が起こりキラキラと光りだす。すると、彼にあったはずの傷が消え去っていた。

 私はもう一人にもヒールを唱えると同じように傷がなくなっていた。


「……なにこれ……」


 自分が自分じゃないみたいで、何故か手が震える。

 自分が怖い。なんでこんな力……。


「メルちゃん! ありがとう!」

「……はい」


 でも、オスマンさんとエミリーさんが喜んでくれたから良かった……。

 だけど私は、どうすればいいか分からなくて厨房には戻らず部屋に篭った。








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